感動と哀愁の旅
   

ちょうど、列車の一日券が1回分あって、
使わないと勿体無いという理由で一人、旅をしてきました。
そのことについてお話します。

場所は川原湯温泉。
行き先を決めず気分と成り行き次第の旅、
ミステリートレインで車内でふと時刻表の路線図を見て
「川原湯温泉駅」に瞳が止まり、
なんとなく惹かれてそこに向かったのだった。
乗った列車すべて、鈍行の普通列車だったので
接続含めて4時間ほどかかって、夕方、やっと駅に到着。
乗車中眺めた目的地の周辺の渓谷といったら、
西日がまた雰囲気を引き立てとても綺麗。それはもう感激。
列車から降りて徒歩20分。坂を上っていくと宿が見えた。
私は高台にある共同湯の露天風呂に入ることにした。
が、洗い場がな〜〜〜い!!
あるのは仕切りのない脱衣所と浴槽。
もろにショックを受けつつ、それでも入浴♪極楽、極楽♪


温泉に入って、そこからは渓谷は見えないものの
眺めもとてもよく、感激していると同時に
哀愁がじわじわと湧いてきた。

川原湯温泉。
そこは近い将来ダムの底に沈んで消えてしまうそうな。
「ダム。。ダム。。。」
すると私は無意識に水没している情景を想像してしまった。
そこはとても残酷な情景。
温泉旅館、線路、道路などは山の上の方に引っ越して
源泉をポンプで汲み上げるようにして
(新)川原湯温泉となるのだそうだが。。。

「ほとんどのものは残されるんだろうなぁ」
瞳に映るもの、みんなそう思える。
「あたかも残された時間のなかで
ひたすら死期が来るのを待っているような」
ふとそんな気がした。
思い出がたくさん詰まっている老舗。
思い出がたくさん詰まっている駅。
それが湖底に沈む。

そこで一生懸命笑顔をつくって働く人たち。
新居に住めば、そこの思い出を心の片隅にしまうだろう。
すごく心が痛む。

川原湯温泉。
そこは温かくお客をもてなす陰で
心とともにダムに沈む日を寂しく待つ、
そんなところに思えた。






所要時間:
川原湯温泉駅まで上野から特急での所要時間は約2時間半。

交通:
上野駅からの場合、高崎線、吾妻線と乗り継ぐ。
(注意:吾妻線は本数少ない)

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